嘘をつく

 

嘘をつくようになると、嘘をついてるのだろうと人を見るようになる。

なぜ嘘をつくようになるのか?相手に喜んでもらいたく、嫌な思いもして欲しくないからだろう。なぜそう望むのか?そうすれば自分が好かれるか、少なくとも嫌われないと思うからだ。自分が好かれたいから人に喜んで欲しいという順序になっている。思考のスタートは自分なのである。

人の気持ちであるとか、思考を完全に理解することは出来ない。自分を相手に投影して感じることから想像するしかない。違うことがあったとしても、自分の思考回路の枠組みから離れることは出来ない。

優しさや、他人への親切の裏には、見返りを求める心が大なり小なりある。そう自分自身に感じるから思う。相手を褒める、笑わせる、優しくするといった行為の動機がどこかにあるのだろうと推測する。そして納得感のあるものを見つけると、嘘だったのかと思う。

答え合わせの出来ない人の考えをあれやこれや想像して、喜んだり悲しんだりしてしまうのはそもそも人を信じられないからであって、人を信じられないのは自分が嘘をついて好かれて良い思いをしようとするからである。優しい嘘なんてない。